ゴーヤ
表面のつぶつぶがとにかく細かい。その一つひとつを手を抜かずに紙に描きとっていく。ゴーヤは若い店の主人曰く、しばらくすると緑から全体が黄色に変色し、そうなってしまうと渋みがより一層まして売り物にならないとのこと。それをさらに放置すると、実が裂け中から赤い種が露出すると。なんか想像しただけで絵のモチーフになりそう! すると主人は、おもむろに棚の片隅の売り時を逸した黄色のゴーヤをつかみ、私にタダでくれたのだった。勇んで持ち帰ったものの、残念ながら次の日曜日までには間に合わず、実は裂けきってカビが生え、グロテスクな風体をさらけ出して、あえなくゴミ袋へ。ホント残念でした!
あまおう
イチゴと言えば、やはりあまおうと言ってよいだろう。大粒で上品な甘味が口の中に広がり大好きな果物の一つ。透明水彩画として描くのは、けっこう神経を使う。と言うのもイチゴのツブツブの白く光っているハイライトは絵の具をのせないよう紙の白を生かさねばいけないから。これをなくしてイチゴのみずみずしい質感は表現できない。気を抜くとそのハイライトをうっかり消してしまうので要注意なのだ。
賀茂なす
代表的な京野菜の一つ。自宅からすぐ近く、地元の農家のおばあさんが簡易な店の中に朝に採れたばかりの野菜を陳列して、道を行きかう人に販売している。そこで買い求めたのが、この賀茂なすであるが、製造直売にしては1個700円は高いかな?でも賀茂なすはどこでも高いようです。新聞紙にくるんでもらい家に持ち帰って無造作につかんだ途端に指に痛みが走った。なんとがくに鋭いとげがあったのだ。長さ1センチ近い。いやはや、この歳になるまでなすにとげあることに気づかなかった。自分を外敵から守るための防衛手段なのだろう。
南瓜
このかぼちゃは直径10センチ少々と小ぶりである。緑青の色調に似た緑色の果皮に同じく薄い緑色の溝のラインが愛らしい。小さいながら、描いた後の食卓での味は飛び切り美味しかった。「万寿」と表示されたラベルが貼ってあったのを思い出し、意外とブランド品だったのかも知れない。
玉葱
義父が滋賀県の石山で育てた玉ねぎを描いた。土から取り出してすぐに紐でくくって吊り下げておいたものだ。玉葱のもつ赤褐色の艶のある果皮は土の中の根菜とは思えない美しい色を放っている。午後3時半から描き出したため日が沈みかけるまでの時間があまりに短かった。それでも今はとにかく自然の太陽光のもとで描くことに徹したい。
ラフランス
名前からしてフランス原産であることがわかる。なんとなく高貴な果物を感じさせてくれる。描いている途中、ラ・フランス特有の香りが部屋に漂い食欲を大いに誘う。ふっくらとした丸みは内から外に向かって生命の力を感じる。
縄ない唐辛子
祇園界隈を散策していた時に縄手通り沿いのある店先で目にとまったのが縄ない唐辛子。藁で12本の唐辛子を縛っているさまがなんとも絵になり、衝動買いしてさっそく水彩画にしたためる。描いた時の色鮮やかな赤は、月日と共に現物は赤黒い色へと変色し我が家の部屋に今もぶらさがっている。調べてみると、これは京都ではなく岡山県鏡野町で作られたもの。魔除け厄除けとして玄関に吊ったりしているようで、なにかいい買い物をした思いに。唐辛子一つひとつを丹念に描いていくとどれも形が違い、人の表情に似てきたので不思議だ。
小玉西瓜 ひとめぼれ
西瓜と言えば、両手で一抱えもある大きな丸い玉を想像するが、スーパーの果物コーナに奥ゆかしくこぢんまりと並んでいたのが、このひとめぼれというなんとも愛きょうのある小さな西瓜。どうやら冷蔵庫の収納スペースを考えておさまるサイズに品種改良されたもののようである。完全な球形ではなくやや面長もそのためか。ヒョウ柄ならぬスイカ柄を筆で丹念に描いていくうちに西瓜らしくなってきた。
透明水彩画
私、立松の本業はデザイナーですが、若い頃から絵画には人並み以上に関心が高く、美術大学を受験するにあたり、純粋美術の道に進むか多少とも生活に困らないであろうデザインの道に進むか大いに悩んだものでした。日曜日の空いた時間があれば片手間程度に透明水彩画を描いています。
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